こんにちは。藤岡です。
2月6日、レインシャドウ・ランニングのが主催する数々の人気レースの中でも最も歴史があり、レインシャドウの象徴とも言えるOrcas Island 50kを走ってきました。二年連続の出場です。私にとって今年最初のレース。結果は、自分の想定を上回る優勝(!)でした。以下、レースレポートです。
オルカス島
オルカス島(Orcas Island)はアメリカの左上の隅、シアトルから北北西に150キロほどの場所に位置し、カナダとの国境もすぐ近くです。サンファン諸島を構成する大小さまざまな島々の一つで、苔生す美しい原生林と、コンスティチューション山から望む島々とピュージェット湾が印象的です。
レースの魅力
50キロのレースの一週間前に開催されるOrcas Island 25kは、アメリカの雑誌「Competitor Magazine」が選定する「最も景色が素晴らしいレース」の一つに選ばれています。
したがって当然ながら自然も美しいのですが、それ以上にこのレースを素晴らしいものにしているのは、トレイルランニング・コミュニティがつくりだす雰囲気です。ワシントン州からはもちろんのこと、隣接するオレゴン州やカナダ・ブリティッシュコロンビア州、遠くはアメリカ国外からも、シーズンの幕開けを楽しみに待っていたトレイルランニング好きが、フェリーに乗って島に集まってきます。
コース
コースは、スタートから5マイル(8キロ地点)までの長い舗装路の上りのあと、湖沿いや原生林の中でさほど大きくない上り下りを繰り返します。21マイル(34キロ地点)から始まる悪名高い激坂パワーライン・トレイルが最大の難所。そのあと更に島の最高地点コンスティチューション山まで上ったあと、4マイル(6.5キロ)を下ってゴールします。
概ね走れるコースですが、例外はパワーライン・トレイル。基本ハイクで上ることになります。ちょっと雨が降っただけで道は泥でツルツルになり、四肢を使わないと前に進めなくなります。(以下の動画の5分27秒くらいからがパワーライン・トレイルです。)
有力選手
今年は海外で活躍する程のエリートの出場はなかったものの、パシフィック・ノースウェストの実力派選手が出場していました。特に注目は以下の二人。
- ネイト・ジャカ(Nate Jaqua)…ポートランド在住で、元はメジャー・リーグ・サッカー(MLS)シアトル・サウンダースのプロサッカー選手。昨年はオレゴンの人気レースPine to Palmで優勝、私も走ったbighorn 100とOrcas Islandでどちらも2位。レース中盤以降にどんどん順位を上げていくスタイルで、常に安定して上位に入ってきます。
- マックスウェル・ファーガソン(Maxwell Ferguson)…ワシントン州の最優秀トレイルランナーに選ばれたこともある、ツボにはまると手がつけられない韋駄天。Orcas Island 50kのコースレコード保持者。
私にとってのレースの位置づけ
私にとっては休養明けの初めてのレース。日々のトレーニングもまだまだ基礎を作っている段階ということもあり、今回のレースの目的は前回のブログで書いたとおり今の調子を確認すること。調子を図る目安としては昨年と同じくらいのタイム(4時間49分49秒)で走れれば良いと考えていました。先に上げた二人の選手は過去の実績からみて私より実力が上で、正直、先着するのは難しいかなと思っていました。
レース展開
雨季なのでレース前日までは雨が続いていましたが、当日は晴れ間ものぞく天気。走りやすい路面コンディションになりました。朝の気温は4度ほど。
レーススタート後、ハナを切る選手がおらず、自然と私が先頭に立ってしまいました。のっけから若干想定外の展開ですが、そのまましばらく舗装路の上り道を先頭で進みます。4〜5キロ上ったくらいのところで、それまで私の後ろについていた馴染みのない二人のランナーが抜いて行きました。まだまだ序盤で無理するところではないので、無理に追いませんでした。現在三番手。
舗装路を終え、原生林のトレイルに入って行くと、次第に先頭が見えなくなりましたが、自分のペースを守って三番手を進みました。
中盤くらいで先行していたランナーの一人が失速し、私が二番手に。途中でマウンテンバイクの男性から「先頭と3分差くらい」と教えてもらいました。
その後、後ろから馴染みのない別のランナーが追いついてきて、私と並走。難所パワーラインの手前、20マイル(32キロ)地点のエイドステーションに一緒に入ります。エイドのボランティアによれば「先頭と1分差」とのこと。先頭のランナーはペースダウンしているようなので、どうやら捕まえられそう。あとは今、並走している人とのレースになりそうな気配です。
二人でパワーライン・トレイルをハイクで登り始めると、案の定、トップを走っていたランナーが見えてきました。ぐんぐんと差を縮め、上りの途中でそのまま追い抜きました。後ろから別のランナーが追いついてくる雰囲気はなく、あとはさきほどから並走しているランナーとの一騎打ちです。
パワーラインの上りで、並走しているランナーの様子を観察していると、上るに連れて疲れてきているように見えました。自分のペースを守って走ってきた私はまだ余力があったので、パワーラインを上りきった23マイル(37キロ)地点で、ここが勝負どころと一気にスパート。振り向かずに出来る限りのスピードで距離を離しにかかると、奏功。あっという間に差を作ることに成功しました。このあたりで優勝を強く意識しました。
とはいえ力を抜けば後続が追いついてくるので力を抜かずにプッシュし続け、またせっかくのリードが台無しにならないようにコースロストに気をつけて走り続けました。
最後はふくらはぎが攣りそうになりながらも、後続に追いつかれることなく1位でゴール。やりました!加えて、ゴール後に初めて知ったのですが、4時間22分という記録はコースレコードまであと19秒に迫る好タイム。
2位はパワーラインの頂上まで並走していたデイヴ(David Bresnahan)。
3位にはやはりネイトが入ってきました。ゴールラインで話していてわかったことなのですが、実はデイヴも昨年私やネイトが走ったBighornを走っていたとのこと。実はトップ3全員が既に同じレースを走っていたのでした。
あまり景色を見る余裕はなかったですが、思う存分レースを楽しめました。うまいレース運びができ、会心のレースになりました。またOrcas Island 50kという人気レースでの優勝は本当に嬉しい!
レースの全結果はこちら。
勝因
順位的にもタイム的にも当初の目標を大幅に上回る結果になりましたが、考えられる主な要因を上げると以下の3つあたりでしょうか。
- コースの知識…私は昨年既に同レースを走っており、後半のタフさを知っていたのに対し、レース序盤で先頭を走りながらもパワーラインで失速したランナーや、2位に入ったデイヴにとっては今回が初めてのOrcas Island 50k。私のほうが力の掛けどころ、抜きどころがわかっていたことが間違いなく結果に影響しました。
- フレッシュな体調…昨年は数多くのレースをこなし、12月のレースでは疲労が完全に抜けない中でのレースになってしまいました。その後、数週間は完全にトレーニングを休み、12月後半からじっくり体を作ってきたので、疲労も抜けてよいコンディションでレースに望めたことが良い結果につながった可能性があります。
- コア・トレーニングの導入…今年の10月には45歳。やはり若い人にくらべると筋肉が落ちやすいということもあり、今年初めからコア・トレーニングを取り入れました。結果として、筋肉系の怪我の予防と、バランス感覚の強化につながった可能性があります。
レースの後のお楽しみ
レースは終わりましたが、お楽しみはここから。
島内のブリュワリーIsland Hoppin’ Breweryのビールを飲みながら、一緒に走ったランナーやその家族とおしゃべりしたり、ゴールする選手に拍手を送ったり。レースは忙しかったのですが、レースの後はのんびりと時間が過ぎていくのでした。
4 コメント
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