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パシフィック・ノースウェスト通信

アメリカのコーチ認証(USATFとUESCA)

written by 藤岡 正純 March 16, 2021

トレイル・ランニングのシーズン・オフはお勉強にはちょうど良い季節。現在コーチング・サービスを提供させてもらっていますが、そこで必要となる新しい知識の習得とクレディビリティのためにランニング・コーチの勉強をしていました。

アメリカにはランニングコーチに関する認証がいくつかありますが、私は昨年1月にUSATF(アメリカ陸上競技連盟)のレベル1コーチ登録を完了し、今年はUESCAのウルトラランニング・コーチのコースを修了しました。

今回はそれぞれの違いについて簡単にお話しようと思います。


 

USATFのコーチ認証は3段階になっていて、レベル1は最初の段階です。レベル1では陸上競技について広く浅い知識の習得が必要です。生体力学やスポーツ生理学、トレーング・デザインなどすべての競技に共通する内容を学んだ後、長距離から短距離、投擲、跳躍などあらゆる陸上競技についてカバーします。USATFはマウンテン・ランニングも管轄していて、トレイルランニング・レースの公認もしていますが、トレイルランニングのコーチングについてはまだどのレベルでもカバーされていません。

レベル1コーチが主に想定するのは学校やクラブなどでの陸上コーチ、といった感じでしょうか。

レベル2は短距離(含むハードル・リレー)、長距離、ジャンプ、スローなどの競技ごとに分かれた専門的な資格になっており、レベル1を完了しているほか、3年以上のコーチング経験が必要になります。最上位のレベル3はオリンピック選手をコーチングするレベルになります。

USATFのレベル1コーチになるためには、クラスの受講のあとテストに合格する必要がある他、スポーツ倫理(ハラスメントやポジティブ・コーチングなど)に関する講義の受講、およびバックグラウンド・チェックが必要になります。バックグラウンド・チェックがある分、日本に住んでいる方が取得するには敷居が高いですね。以前はクラスはオフライン(多くの場合、大学などの学校)で行われていましたが、コロナ禍に入ってからはZoomによるオンライン講義に切り替わっています。

オリンピックなどの大会に帯同する場合にはUSATFのコーチ資格を持っている必要があります。また学校で陸上コーチになるためにも資格を要求されるケースがあるようです。

UESCAのウルトラランニング・コーチ認証は今年の1月に開始されたばかりのコースで、私の知る限り唯一のウルトラランニングの認証です。UESCAはアメリカのトライアスロン協会や自転車協会がバックについており、各種エンデュランス競技のコーチングに関するコースを提供しています。

ウルトラランニングのコーチングの第一人者Jason Koopが内容を監修しており、以下のような章の構成です。この競技に特化した内容になっています。
– Roles of a Coach
– Skeletal System
– Muscular System
– Energy Systems
– Environmental Physiology
– Training Benchmarks and Analysis Tools
– Running Form and Biomechanics
– Injury and Illness
– Resistance Training
– Athlete Intake
– Goal Setting and Event Selection
– Training Modalities
– Training Structure
– Program Development
– Pacing
– Ultrarunning Psychology
– Nutrition
– Safety
– Shoes – Apparel – Gear
– Race Preparation and Race Day

UESCAのコーチ認証はUSATFのような階層型にはなっていません。オンラインでマテリアルを読み込んだあと、テストに合格することで修了します。USATFとは異なり決まった時間にクラスを受講する必要はないので、自分のペースでゆっくり進めることが出来ます。その他のリクワイアメントはないので日本に住んでいる方でも取得の敷居は低いです。

USATFもUESCAも科学的根拠に基づいた内容を扱うことを謳っている点では共通していますが、USATFのレベル1は広く浅い内容のため、ほぼ誰にでも適用可能な原理・原則を取り扱っているのに対して、UESCAでは、個人によって違いが出る事柄についてもオープンに扱っている印象です。

マラソンなどに比べるとまだ遅れているものの、ウルトラランニングはここ数年かなり科学的な研究も進んでおり、UESCAもその内容を取り込んだ良い内容のものに仕上がっています。

一般受けはUSATFのほうが良いかもしれませんが、ウルトラランニングに関する突っ込んだ内容を勉強したければUESCAがおすすめです。

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藤岡 正純

藤岡 正純

アメリカ在住/「Seven Hills Running Shop」スポンサードランナー

アメリカ・ワシントン州在住。シアトルのトレイルランニング専門店「Seven Hills Running Shop」のスポンサードランナー。Team RunRun所属コーチ。不惑をとうに超えつつも、若手に負けじとパシフィック・ノースウェスト(太平洋岸北西部)の山々を駆け回っています。
本業はソフトウェア・エンジニア。妻と猫と暮らしてます。

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[日本代表を応援しよう!]

WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)、大逆転で決勝進出!

昨年のサッカーワールドカップも強豪を破ってのベスト8と、日本中を熱狂させました。

日本を代表して世界に挑戦するアスリートたち。応援したくなりますよね。今年、ぼくたちが愛好するマウンテン&トレイルランニングでも世界選手権が開催されます。

陸上競技の国際統括団体である「World Athletics」主催の公式の世界選手権「World Mountain & Trail Running Championships 2023(WMTRC2023)」。2022年から始まり、今年の大会は6月にオーストリアで開催。日本からは12名の代表選手が参加します。

[SHORT]

上田瑠偉 @uedaruy
森本幸司 @mori23ko
楠田涼葉 @kussun_udon

[LONG]

川崎雄哉 @kawa1105
西村広和 @hirokazu_nishimura26
吉野大和 @yamatonogram
近江竜之介 @omi_ryunosuke
甲斐大貴 @crazy__karo
小笠原光研 @koken_ogasawara
秋山穂乃果 @honomosquito
髙村貴子 @takak0_0122
吉住友里 @yuri.yoshizumi

(敬称略)

まさに日本を代表するマウンテン&トレイルランニングアスリートたちが揃いました。ただ、野球やサッカーと異なるのは、豊富な遠征資金が準備されているわけではないこと。

そこで、日本トレイルランニング協会が応援Tシャツを販売。売上から経費を除いた収益は全て選手の遠征費用に充てられます。今回、声をかけていただき、企画・デザインを担当させていただきました。

Tシャツは2種類。Aタイプは前面の「JAPAN」と「日の丸」が特徴的な「日本代表」をストレートに表現したデザインです。背中面には今年の代表選手の名前がプリントされます。

Bタイプはサポートバージョンで、前面には「落ち着いて全力を尽くそう」というメッセージ。背中面にブランド、ショップ、トレイルチーム、大会、メディアとカテゴリーの枠を超えてロゴを掲載させていただきます(無償)。

以前とあるレース用に、ラン友たちのトレイルチームのロゴをプリントしたTシャツを作ったことがあります。ロゴを入れることで、共感と一体感が生まれました。日本中のマウンテン&トレイルランニングチーム、ブランド、ショップ、大会、メディアがカテゴリーの枠を超えて応援することこそ、世界選手権に参加する代表ランナーたちの力になると思います。しかも購入していただくと、選手の遠征費用にもなります。

「応援したい!」というマウンテン&トレイルランニング関係者&愛好家のみなさま、ぜひロゴ掲載で応援の気持ちを代表ランナーに伝えましょう。

詳しくは日本トレイルランニング協会のサイトをご確認ください。

https://trailrunning.or.jp/

応援TシャツはAもBも普段からラン&トレイルランで着やすいデザインを心がけました。着ているだけで世界選手権の告知にもなります。WMTRC2023の開催は6月と少し先ですが、大会中はこのTシャツを着て日本代表を応援しましょう。

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