梅雨の晴れ間を狙って苗場山へ
2018年6月24日、新潟と長野の県境に位置する日本百名山・苗場山(標高2145m)へと向かった。梅雨の合間に晴天を得る貴重なチャンスを活かし、1泊2日のFASTPACKINGスタイルでの山行を計画していた。
山頂一帯に広がる圧巻の高層湿原
苗場山の最大の魅力は、山頂部に広がる広大な高層湿原である。山頂一帯は約4km四方にわたり平坦で、その中に大小600もの池塘が点在する。その景観はまさに「天空の楽園」と呼ぶにふさわしいスケールであり、想像以上の感動を与えてくれた。
1泊2日予定→日帰りへ変更
今回の山行は、1泊2日のFASTPACKINGスタイルで臨んだが、コースのハードさと暑さにバテバテに。敢え無くコース短縮。日帰りになってしまった。2日分の衣食住の荷物は単なる重石にしかならなかった。
出発は和田小屋から
当日は越後湯沢駅に自家用車をデポ。タクシーを利用し、登山口の和田小屋(標高1370m)まで移動。所要時間30分、料金6000円。5時30分に山行を開始。最初のアプローチはスキー場のゲレンデで、手入れの行き届いた芝生のように一面刈り込まれており、やや人工的な印象を受けた。
登るほどに開ける大展望と、虫との闘い
中ノ芝・下ノ芝を経由して標高を上げると、谷川連峰をはじめとする越後山脈の山々が雲海の上に顔を出し、壮大な景観が広がった。
この季節は虫の多い時期でもあり、バグネットが必須装備となった。快適性は向上したが、水や食料の補給時にはやや手間がかかった。
神楽ヶ峰を越え、湿原の絶景へ
神楽ヶ峰(2030m)を越え、雲尾坂の急登を登り切ると、突如として目の前に広がる湿原の景色に息を呑んだ。遠くにはまだ雪をいただいた北アルプスの山々の姿も望めた。
展望のない山頂と、昌次新道への下り
苗場山の山頂には展望はなく、苗場山自然体験交流センターのデッキで補給を手早く済ませる。帰路は赤湯方面へと昌次新道を下るルートを選択。急斜面や鎖場、泥濘が連続し、背負った荷物の重みも相まって体力の消耗が激しかった。
桂沢の水場で生き返り、赤湯の秘湯へ
シラビソの森を抜け、やがてブナの美しい樹林帯が現れる。
フクベノ平を過ぎ、谷に下ると桂沢の水場に到着。冷水で顔を洗いリフレッシュ。さらに幾度もアップダウンを繰り返し、ようやく五合目に位置する秘湯・赤湯山口館に到着。ここには露天風呂とテン場があり、日帰り入浴は500円。次回はぜひ宿泊したいと思わせる素晴らしい場所であった。
谷まで降りたら、そこは桂沢の水場。冷たい水で顔を洗い、生き返った。また登り返して、さらに下って、登って、下ってを繰り返し、ようやく標高1060mの五合目にある一軒宿の秘湯、赤湯に到着。清津川の河原には露天風呂。日帰り入浴は500円。テン場もある。次の機会に宿泊して露天風呂にゆっくり浸かりたいと思った。先を急いでいた。今日の目的地の平標山ノ家はまだまだ先だ。
最終判断:元橋でプラン中止を決断
当初は元橋から平標山ノ家まで再度登り返す予定であったが、疲労度と体調を考慮し、プランの中止を決断。すでに苗場山の大きさに圧倒され、十分な満足感と疲労感があった。元橋から2kmほど国道を歩き、宿場の湯で汗を流した後、バスにて越後湯沢駅へ戻り、今回の山行を終了とした。
今回の山行データ(実績)
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距離:19.11km
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累積標高:1650m(上り)/2060m(下り)
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標準コースタイム:11時間15分
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所要時間:8時間20分(短縮率74%)
当初のプラン(参考)
1日目
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和田小屋〜苗場山〜赤湯〜元橋〜平標山ノ家(テント泊)
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距離:24.15km
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累積標高:2331m(上り)/2097m(下り)
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標準CT:13時間40分
2日目
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平標山〜仙ノ倉山〜万太郎山〜谷川岳〜西黒尾根〜土合駅
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距離:18.74km
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累積標高:1437m(上り)/2420m(下り)
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標準CT:12時間50分