Mountain Martial Artsオリジナルウェアのコンセプトは「アクティビティとデイリーの境をなくす」。そのため、機能素材=化学繊維を多く使っている。
化学繊維とは化学的に合成された繊維で、人の意思によって目的を持って作られるため、機能性に長けている生地であることが多い。現代のアウトドアやスポーツで使われる生地のほとんどが化学繊維で、先日記事にした「魔法のような素材」POLARTEC®は代表例のひとつ。
それでも、シーズンに何アイテムか天然繊維の生地のウェアを作る。天然繊維とはその名の通り、自然界に存在する植物などを原料として織られた繊維で、多くのデイリーウェアに使われているコットンやウールなどが代表的だ。
今シーズン、唯一天然繊維を使っているWAKAYAMA Sweatシリーズ。名称にWAKAYAMAとついているように、和歌山で編まれた裏起毛スウェットを使用している。
和歌山はかつて日本一のニット産業地として栄えていた。その当時、つまり今では旧式となった編み機で編んだスウェットが数年前から注目を浴びている。旧式の編み機は現代の高速の丸編み機に比べると生産効率が低く、大量生産には向いていない。しかし、糸に負担をかけずにゆっくりと編むことで独特の風合いが生まれる。
ボリューミーなスウェットはふんわりとして、しっかりとしている。相反する特徴が共存した印象だ。WAKAYAMA Sweatシリーズは縫製した後に一度製品洗いをしているが、へたるどころかよりふんわりし、しっかりとした風合いを失うことはない。現代の効率を追い求めた編み機で編んだスウェットより丈夫でへたらないと言われている。
生産効率が低いから、時代の流れに追いやられ失われていった技術。だからこそ現代の機械では出せない独特の魅力を持つ。非合理だからこそ、生まれる魅力。
和歌山産スウェットで普通の形のフーディーやジョガーは他のブランドにあるので、MMAはアクティビティウェアのディティールをプラス。フーディーの(個人的に)野暮ったく感じる紐はドローコードにアレンジ。しっかりとしたスウェット素材は高い保温性を持つが、脇下に大きなベンチレーションをつけることで体温調整を可能とした。
ジョガーには7pocket Run Pantsで採用しているパワーメッシュのポケットを装備。「前と後ろ4つのポケット+パワーメッシュポケット3」で、合計7つのポケット。ヒップに余裕を持たせ、足先に向けてテーパードすることで、美しいシルエットと履き心地のよさを両立している。
なによりも肌に触れるスウェットの心地よさ。オーセンティックな生地の上質さと、アクティビティのディテイールの使い勝手のよさが融合したアイテム。。
自分はファッションを扱う会社に長年勤めていた。ファッションという言葉に感じるイメージは人それぞれだと思うけど、「トレンド」といった表層的な面の裏に、「伝統」「生産背景」「フィロソフィー」などのカルチャーが存在する。例えばMMAが過去に展開したシーズンテーマ「ミリタリー」や「ヘビーデューティー」などは、ファッションのカルチャーをモチーフにしている。そして、「旧式の編み機が編んだスウェット」にもカルチャーが詰まっている。
化学繊維にも、天然繊維にもそれぞれ良さがある。自分が良いと思えば、その生地を使ったウェアを作り、みなさまにご提案する。そして、もしぼくの語るウンチクによってファッションカルチャーに興味を持っていただく方がひとりでもいるとしたら、それはぼくにとってうれしいことであり、ファッションというカテゴリーへの恩返しだと思っている。
スポーツ、ファッション、山、街、化繊、天然繊維、すべてに境なく、良いものは良い。それがMountain Martial Artsのスタンス。
MMA Wakayama Sweat Side Venti Hoody
■品番:MMA15-44
■color:
Oatmeal / Mix Gray
■composition: コットン 100%
■size: XS(womens),S,M,L
■日本製
MMA Wakayama Sweat Mesh Pocket Jogger
■品番:MMA15-55
■color:
Oatmeal / Mix Gray
■composition: コットン 100%
■size: S,M,L,XL
■日本製