Tor des Glaciers、450km、D±37,000mの氷河の旅、
6日半で無事完走でき、5位、ヨーロッパのレースで初めて表彰台に乗ることができました。
表彰式は、なんだか、本当に現実と別世界で、
たくさんの方とハイタッチをしたり、写真を撮ったり、
初めてのことばかりで、イタリアの方々の陽気で温かい雰囲気を、肌で感じることができました。
(3位は小野選手!)
Glaciers、トルデジアンとは全く、別のレースです。
コースマーキングが無いこと(GPSデータが提供され自分でナビゲーション)、
トレイルが不明瞭な箇所もけっこうあること、
きわどいハシゴや鎖、ロープの場所やガレ場があること、
エイドが無く山小屋とライフベースのみで補給できること、
トルデジアンよりも傾斜が急なこと……
今回特に苦労したのは、
2日目の明け方、Col Planavalからのガレ場の下りで朝露が凍り、
ツルツルのグリップが利かない中をしりもちつきながら下ったこと。
ここでふくらはぎや内転筋が攣ってしまったのは予定外。
そして上から選手が落石をガンガン落としながら降りてくるのが恐怖そのもの…
そして、2日目の夜に雪、3日目の明け方にPassage du Grand Neyronから、
新雪が5~10cm積もる岩場、ハシゴ、鎖、ロープの通過は本当に、怖かった… 命の危険を感じました…
全くシューズのグリップが利かない、新雪なのでチェーンスパイクも利かない、
本当ならロープで確保して下るようなところを、
時間をかけてなんとかかんとか…
次のRifugio Sellaでスタッフの方に「It’s too dangerous!!」と言ったら、
「I know!!」と言われたときはもう笑うしかありませんでした。
レースの出来として75点ぐらいの感じですが、
それなりに実力は出せた充実感があり、
だいぶ「マルチデイレース慣れ」してきた感じがしています。
330km地点で食べた食事が合わず、
その次の区間は何十回もリバースしながらフラフラになって時間もかかり、次の小屋で仮眠してなんとか復活。この時点で10位まで下がっていました。
まだ食べ物は食べられず、小屋のフルーツジュースだけでエネルギーをつなぎながらゆっくり、少しずつ。
本当にペースが上がらず、6時間半後に次の次の小屋でようやくフルーツ(スモモとバナナ)を食べられ、少しずつペースが回復。
結局29時間完徹でゴールまで、トータルの睡眠時間は10時間ぐらいの予定が実際は12時間。
最後のマラトラ峠手前で前との差が15分だと聞き、ギアを上げる。
次のエイドで追いつき、そこから10kmは2人でデッドヒート。430km走ってきて最後のスプリント勝負になるとは…
この人がすごく速くてフラットでキロ5ぐらいなら余裕でついてくる。
緩い傾斜でも全く離れず呼吸も余裕あり。
急登では少しキツそうでもガンガンついてくるので、
ガレ気味の下り区間で滅多に入れない短距離トレランスイッチを入れ、
全力の9割ぐらいのスピードでガンガン下ったらようやく離れて、そのままペースは落とさずにゴールまで。
20kmレースを久々にした感じでした……
Glaciersは猛者ばかりでみなさんスピード速かったですが、自分も遜色のないレベルまでようやく来られた感じがしています。
今回は色々なことにも気がついて、自分のカラダのクセ、ストックワークなど、
細かい「技術」の部分が少しずつ、トップとの差につながっているなと感じました。
今まではとにかく、カラダのベースをトップレベルに持っていくことだけを考えていましたが、
少しずつ細かい部分のスキルアップにも意識を向けていきたいなと思ってます。
やはり氷河の旅。
標高も高く、トルデジアンとは全く景色が違います。
これがあったから、キツく、苦しくも、素晴らしい旅ができました。
あらためて、Glaciersはトルデジアンよりもサーフェスのバリエーションが豊富で、
アップダウンも変化に富んでいて、よりイタリアのトレイルを楽しめるコースになっていると感じました。
区間区間でファストパッキングに最適なコースもたくさんあり、
セクションハイクしても面白いと思います。
ただ、本当に、厳しいレースです。
通しで参加するには、かなりの覚悟が必要です。
個人的にはトルデジアン330kmの方が好みで、
Glaciersは1回でお腹一杯!! というのが正直な感想です。
とはいえ、やはりクールマイユールに戻ってきたゴールは、本当に格別です。
また、あのゴール、表彰台に立てるよう、少しずつ積み重ねていきたいなと思ってます。
次は1月のSPINEに向けて、再始動です。