3日目の夜、時折強風が過ぎていくもののそれほど荒れず穏やかに眠れ、
4日目はアラームどおり3時に起床。
お湯を沸かしビバークレーションをさっと食べます。
今冬から本格投入しているジェットボイルスタッシュとの組み合わせで、
お湯を沸かし始めてから投入後に戻して食べ始めるまで5分かかりません。
ものすごく重宝しています。
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ビバークレーション
防寒対策万全で身支度をゆっくりと整え、
出発できる格好になったところで水を汲みにいき、1.4リットルを積みます。
ついでに出発前に多めに水を飲んでおきます。700mlは飲んだかな。
昨日つけたトレースがかすかに残る暗闇の中を4時40分ぐらいに出発。
膝から腿までのスノーシューラッセルを楽しみつつゆっくり進みます。
朝方はまぁまぁ伊那側からの風が強くさすがに寒いです。マイナス12℃ぐらい。
小ピークを過ぎて樹林帯に降りたところで明るくなり始めライトを消します。
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結構積もってます。
樹林帯はやはり時間がかかります。
登山靴ではなくシューズでのスノーシューラッセルは朝方はさすがに冷えます。
このあたりは次回の改善ポイント、
もう少し保温性の高いスノーシューイング用の軽いシューズを探すか、靴下を1枚足すなど要検討です。
竜尾見晴には8時過ぎに到着。素晴らしい南アブルーと白銀の世界に変わっていました。
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塩見岳方面
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間ノ岳と農鳥岳
1日で30cmぐらい積もったのもありまぁまぁのラッセル。
無理をしてスピードを上げようとせず、時間に余裕はあるので淡々と進みます。
北荒川岳の登りの手前の平坦地には10時半前に到着。
出発から5時間45分、予想していたとはいえこれが冬の南ア、
時間はかかりますが幻想的な目の前の景色が心を落ち着かせてくれます。
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北荒川岳の手前
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雪原の向こうに間ノ岳・農鳥岳
北荒川岳への登りは毎度苦戦するところ。
夏道の場合は一度少し降りるところがあり冬はここがけっこう危ない…。
トラバース気味で新雪が安定しないためルート変更。
冬限定の直登ルートで、雪が積もりかなりだいぶ登りやすいものの、
最後の400mぐらいがハイマツや木が出ておりどうしたものか…。
迷路のように歩きやすいところを探しながら右へ左へ。
なんとか稜線に出たのは11時45分、登りだけで1時間ちょっと、絶景。
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北荒川岳から塩見岳
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振り返るとかなり雪景色
ここの稜線は普段は風が強いもののこの日はほぼ無風。
暑いぐらいの日差しのなかを進み、甲府側に少し降りてトラバースに入るとかなりのラッセル。
膝から腿のスノーシューラッセルに日差しが照り付け汗をかきます。
ソックスはVBLの組み合わせがあまり好きでなく、
ウールのソックスで組み合わせのため汗びっしょり、あとで冷えないようにとにかく動き続けます。
トラバースが終わり、雪少なめの稜線をスノーシューで進みようやく急登ポイントへ。
風もほとんどなくここでシューズ・スノーシューから登山靴・アイゼンにゆっくりと換装。
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さて急登です。
北俣岳・蝙蝠岳方面への分岐までの急登は夏でも滑りやすく要注意ポイント。
雪はあったり無かったりで、アイゼンでの登りはかなり気を遣います。
ゆっくりゆっくり進み、40分ほどで分岐に到着。
さらに進み塩見岳への最後の稜線が姿を現します。
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最後の稜線
ここが毎回猛ラッセルで苦しむところ。
基本的には甲府側を進むのですが、新雪でやや不安定なため大事をとってアイゼン。
腿まで沈むラッセル、本当に時間がかかります。
夏なら10分で着くところ40分かかってようやく14時45分に塩見岳登頂。
素晴らしい景色。いっきに南ア全体が雪化粧した感じ。
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塩見岳登頂
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振り返ると仙塩尾根
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塩見岳西峰
ここからは間違いなくトレースがあるだろうと思っていたのですが、
塩見岳西峰方面には古いアイゼンの跡がかすかに。
ここの下りは毎回慎重に慎重を重ねて進むところなのでゆっくりと穏やかに。
雪がそれほど積もっておらず夏道が明瞭に分かるので、
ルートファインディング自体はそれほど難しくなく、
夏に何度も通っていてどこで曲がるのか頭に入ってさえいればそれほど苦労はしません。
1時間ほどで無事に難所をクリアして塩見小屋手前で小休止。
ここでもう一度シューズ・スノーシューに換装。
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塩見小屋手前から振り返って
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仙丈方面
塩見小屋は冬季小屋にどうやら団体さんがいるようで、
ここからはトレースがくっきりとついています。
ただ、スノーシューではなくツボ足のトレースでボコボコで歩きにくい…。
後で三伏峠小屋の小屋番さんに伺うと「団体の学生さん」とのことでなんか納得。
樹林帯に無事降りてしばらくすると17時、ライト点灯。
さすがに少し冷え、伊那側からの冷たい風を受けながら淡々とゆっくり進みます。
三伏峠には19時過ぎに到着、テントが3張。
綺麗な星空を見ながら早速テントを張り、
さすがに13時間半行動でエネルギー空。
先に食事をとりたいところをガマンして、雪を融かして明日の水を1.4リットル作りつつ、
ビーフジャーキーやミックスナッツをつまみます。
既にマイナス10℃でかなり寒い、さらに水を作りつつ、
カレーメシをようやく食べて一安心。
ケータイの電波が入るので明日の天気を確認したところ、
年末とは予報が変わり雪予報、しかも明後日も夕方以降雪予報。
これでは明日もSTAY、明後日も午前半日しか行動できない、
しかも荒川岳のカールを新雪後に登るのは雪崩のリスクが高くかなりリスキー。
ここで明日の下山を決め、21時半ぐらいに眠りました。
翌朝の未明からテントにさらさらと雪の降る音が聞こえ、
5日目は6時45分に起きて外を見るとかなりの雪模様。
これは早めに下山しようと思い、お湯は沸かさずにカロリーメイトを食べて出発の準備。
小屋番さんがいらっしゃったのでテン場代をお支払いしてお茶をいただき少し談笑。
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翌朝は雪
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三伏峠小屋
8時過ぎに出発。
鳥倉への下りはシューズにチェーンスパイクで全く問題無し。
雪が少しずつ強まってきて、風もそこそこ吹いてこれは下山して正解と確信。
登山口までもほぼ雪はついていて、1時間半で鳥倉登山口へ無事下山。
登山口の東屋では、先に降りられていた2人組の方と談笑。
その後はかなり雪と風が吹く林道をひたすら早歩き、視界も悪く結構寒い、ゴーグルをしようか一瞬迷いました。
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鳥倉登山口のボード
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鳥倉登山口
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林道もかなりの雪
重い荷物がカラダに堪えるなか、1時間に1回ぐらいの休憩をはさみながらひたすら林道歩き。
冬季ゲートを過ぎてしばらくすると雪がみぞれのように変わってきて、
さらに降りると中央アルプス側から青空が見えてます。
13時ぐらいには日差しも出始め風もほとんどなくなり逆に暑いぐらい。なんだこの天気の変化は…。
ひたすら歩いて鳥倉登山口から4時間20分で無事道の駅へ到着。晴れ。
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道の駅
道の駅はお正月休みで、自販機でドリンクを買い漁りがぶ飲み。
濡れ物を乾かしながら1時間ちょっとバスを待ち、
伊那大島の駅までバス移動。JR飯田線で伊那市駅には17時45分に到着。
コンビニで暖かいご飯を買いつつ、バスターミナルで1時間待ち19時前に高遠行きへ乗車。
19時15分ぐらいに高遠に到着し、さすがに歩くのはきついのでタクシーで柏木登山口へ車を回収。
その日のうちに帰れるだろうということで、かなり寝ていたこともあってか眠くならずに24時ごろに無事帰宅。
長いようで短かった4泊5日の雪山山行が無事終了。
特に昨シーズンは業務繁忙等でなかなか雪山に入れなかったのですが、
今回は久しぶりに長い期間山に入ることができ、
充実した山行を無事終えることができました。
なかなか天気が味方してくれないのですが、
またいつか1週間でTJAR南アコースを通しで行きたいなと思っています。
今シーズンも安全に。