7月連休の南アルプス縦走に続き、7月末は2泊3日の行程で、北アルプス、ジャンダルムへの山行でした。1年目は高度感と慣れない岩場の連続からしがみつくように登頂して涸沢へ戻った。ブログには自慢げに書いてはいるが、決して楽しめたとは言えない。今回は、昨年から、ボルダリングを始めたとこによって余裕度ができて、楽しみながら登ることができたことがなによりうれしい。多くの友人にはFace Bookでシェアしているので、このブログには岩稜区間での安全面の配慮に関して簡単に記述しておきたい。最近、山の事故の知らせが多く届く。自分の知り合いから、いや、このブログを読んでいただいている方から、この夏、これ以上、絶対に事故者がでないように願う次第です。
天候判断について
今回、西穂高から入り、西穂で1泊、ジャンダルムを登頂、奥穂高へ抜ける予定だったが、登頂日の天候が悪化する予報となる。そこで、短く、かつルートの難易度を少し下げて、初日にジャンダルムへの登頂プランへ変更した。天候に関しては天気図が読み込めれば一番よいのだろうが、それでも大まかな傾向は予測できても、細かい山域ごとの情報は、素直に気象予報士の予測を活用したほうがよいと思う。自分が利用しているのは、有料ではあるが山岳気象情報が得られるヤマテン(リンク)を利用している。一般の天気予報では麓の状況だけですし、よく利用される気象協会のTenki.JP(リンク)と比べると、さらに気象予報士による山域に合わせた細かいコメントがヤマテンの特徴。「飛騨側からガスが発生しやすい」とか、「西穂から奥穂の稜線上の風に注意」といった具体的コメントが判断の材料となる。後日、知人から話を聞けば、時間的には、オリジナルのルートでも初日の登頂は可能だったということだが、早めの小屋(テンバ)着を確実なものとする選択肢として、一番良い判断だったと信じている。
テントについて
OMMへのエントリ―が決まってから、ツエルト泊への意識が高まった。今回もツエルトかテントか迷ったが、ツエルト初心者の自分には、3000mクラスの稜線はちょっとまだ早いなと思い、UL系のテントを選択した次第。以前に、もう少し重量感のある山岳系ソロテントで暴風雨の中、一晩過ごしたことがあったが、今回のUL系テントの風に対する強度をテストをする良い機会となった。結果は良好! ネット上では、フレームが折れるなどのトラブルも報告されているが、多少の個体差や張り方にもよることだろう。ツエルトの軽さもいいが、テントの安心感を再認識した次第。
岩場での技術について
ジャンダルムや大キレットといった区間は、バリエーションルートではなく、山地図に記載されている一般登山道である以上、クライミング技術や、ボルタリングのムーブが必要ということではありません。それでも、岩稜経験者、あるいはガイドの同行が推薦されているのは、それだけ死亡事故が多いということ。自分が想像する滑落のパターンはマーカーを読み違えての滑落事故。これが圧倒的に多いのではないでしょうか? これはソロでの行動を避ける、そして2人以上の場合も、前をフォローするだけでなく、後ろにつく人も自らマーカーを読む相互チェックで防げるはず。だから、女性であっても、男性に「連れてって」という感覚は持たないでほしい。ここでは「ご一緒しましょう」です。
体力面、技術面ではボルダリングをやったことによって余裕度ができたと書いたが、具体的には、足場が限定される場合に、左右の足を踏みかえたり、手のホールドは上からつかむ(ガバ)以外にいろいろな取り方ができるようになっていること、そしてその余裕度から他の安全面に気を配れること。浮石、落石、同行者の様子、そしてなにより、自分自身が楽しい。必死にしがみつくだけだった昨年と比べると、一手一手を、楽に、安全にと考えながら登るのがとても楽しかった。そして、後から気づいたですが、写真を見ると、3点支持をできるだけいいバランスで保持しようとしている。上の写真は、右側が切り立ってはいるものの、靴幅2足分の幅は十分にあるトラバースなのですが、去年までなら、脚を楽に動かせるように、早めに片手は岩から離していると思う。今年は無意識のうちにボルダリングのトラバース課題のような感覚を持っていて両手を岩から切っていない。手前に鎖が写ってはいるが、鎖を使わず、易しいトラバース課題を登るような感覚を持っていたのでこういう写真になっていると思う。上に、クライミングやボルダリング技術は必要ないと書いたが、ただ登頂するだけなら必要はなくても、より安全に、楽しく登るならば身に付けておくとよいでしょう。
Have fun and safe trails !!
8/5 付記 最初に投稿した1枚の写真が最近の事故を想起させるものであり、一部の近親者 の方々には不快であった可能性は否定できません。写真を差し替えると同時にお詫び申し上げます。