FBでいくつかの投稿を見て気になっていましたし、MMAブログでアメリカ、ワシントン州在中の藤岡さんが紹介していたので、久しぶりに映画館へ足を運びました。Pacific Crest Trail ( PCT )にも少し興味がありましたので。
「WILD」邦題は「私に会うまでの1,600km」(どうしていつも邦題はこんなにもセンスがないのだろうか) テーマの重い映画でした。トレイルを歩かない一般の人にも感動してもらわなければならないから、ヒューマニティを掘り下げていくことがメインとなるのは仕方がありません。 (ざっくりとしたあらすじは、上のリンクの藤岡さんのブログをお読みください。)そういった意味で評価が高いのも納得で、この日も満席となっていました。「歩く」という行為は、人を内向きにさせるのかもしれません。自分と向き合い、見つめ直す、必要な時間なのかもしれません。だけれども、私が「走る」ときは、その逆のベクトルが働いています。過去とか、特に自分のネガティブな要素は一切考えていない。ネガティブなことが頭に浮かぶことも、ないことはないのですが、そのときは身体の動きも悪くなり、すぐに打ち消すようにしています。主に自分以外のこと、そして時間軸は常に先のことを考えている気がします。あるいはなにも考えていないかです。又、トレイルや山に精神性を持ち込むのはあまりお勧めできません。自分が走ったり、標高の高い稜線をファストパックで駆け抜けたりするのは、単純に「楽しいから」というのが理由です。管理された一般登山道を歩くだけならリスクも最小限かとは思うのですが、標高の高い山々で、「精神性」やら、「挑戦」というメンタリティーを持ち出すと、冷静な判断を狂わす大きな要因になりかねないと思うのです。自分の心のベクトルがそういう方向に働いていると感じたら、一人では山に入らないようにしています。あくまでも「楽しい」を感じることが目的だと思うのです。一方で、レースはある程度コントロールされたエリアで行われるわけですから、自力下山ができる範囲ならば、思う存分「挑戦」してもいいかなとは思いますけれど。ちょっとひねくれた視点からこの映画を観てしまいました。
こんな映画もあります。知人のブログ紹介で知りました。「 Mile, Mile …and a half」訳すと、下りてくる人に、「あとどれぐらい?」と聞くと「あと少しだよ」と答えるが、実際にあと少しだったことはない、というトレイルあるある用語です。ヒューマニティ的なストーリーは一切なし、写真家やクリエーターたちが、ただただ美しいJohn Muier Trail (JMT = PCTの一部でもある)を歩きながら記録した映画です。これは本当に映像が美しく、終盤に合流したミュージシャンたちの音楽もいい。ただ、こういったものはトレイルを実際に歩く人以外には興味を持ってもらえないから、日本での一般上映は無く、現在はI- Tunesで購入が可能です。これはお勧めです。休日に家にいるときはBGM的に流していることも多く、とても気に入っています。