信越五岳100mile。2015年のUTMFをリタイアしてから、3年ぶり4回目の100mileは結論から言うと、撃沈。
目標は21hでのゴールだったが、実際は23:29:46(総合24位)というなんとも悔しい結果に。
でも悔しい中にも今後こうしたいな。ああすれば。みたいな学びも得られて
今後100mileを楽しむ上で分岐点になるのでは?と思えるようなレースだった。
では、レースを振り返ってみたいと思う。
【スタート前】
レース前日からホテルに宿泊し、当日も有料仮眠所でゆったり。
睡眠不足もなく、素晴らしいコンディションでスタート地点へ。
斑尾高原ホテルでは、すぽるちばのメンバー。JR田中さん、トモさんなどにお会いしてエールを交換。
スタート地点では、シガウマラのメンバーとも会えて、元気を頂く。
【スタート〜バンフ】0〜24k
予想経過時間:3:15
実際経過時間:2:43
いよいよスタート。
予定通りゆったりと進む。下りも人に譲ったり。斑尾山の下りも慎重にいって、滑ることはなかった。バンフでチー100の野田君に会う。奥さんのサポートらしい。
そんなにトップとは差がないみたいだけど、周りに人が多い。ペースは相当早い。
【バンフ〜アパ】24k〜56k
予想経過時間:7:30
実際経過時間:7:26
バンフをでると走りやすいトレイルに。心拍を見ながら、淡々と進む。
途中、「痛い!」っとパックの先頭の人が言ったので、何事か?とライトを照らすと、ブワーっとあたり一面、蜂が舞っている。
「痛い、痛い!」
周りが叫び出し、もうパックはパニックに。
僕は手をブンブンして避けてたけど、チクっと胸の辺りに痛みを感じて、そのはずみで転倒w
感触的にスズメではなさそうなので、指で毒を絞りながら、水で流す。
天然のベスパだと思ってw、いや、そもそも蜂なんてなかったものとして進むw
でも、序盤なだけに、これで140km進むと考えると結構凹んだ。
アパへいく登り手前で大きめのパックと一緒になり、しばらくついていったが、かなりゆっくりペース。
なんとなく流れでついていたが、最大30分ほどあった貯金がかなり喰われ出したので、タイミングを見計らって集団をパス。
アパへはなんとかOn timeで到着。
Run walk styleのガンバフンバ君(≒店長)がいて、少しお話をする。
サンタバーバラが懐かしいw
ウィルキンソンのジンジャーエールを補給し、元気がでたところで急いで出発。
【アパ〜自然の家】56k〜71k
予想経過時間:9:35
実際経過時間:9:30
去年の短縮100mile(102k)の時にもっとも辛かった区間。
緩いのぼりの林道とロードのMixで、油断すると足が終わってしまう。
注意しながら、アパでほぼ同時に出た小川さんと一緒に進む。
途中少しペースが速く感じたので、小川さんには先に行ってもらい淡々とジョグで進む。
自然の家到着。チー100の同期、黒田のねーさんがいた。
先頭グループの様子を聞きながら、自分の状況をチェック。
去年より全然足が元気。
良い感触を得て、先に進む。
【自然の家〜赤倉】71k〜89k
予想経過時間:12:05
実際経過時間:11:46
ここからはいよいよ前半戦最大のポイント。
モンスターゲレンデ。
去年はほぼ死にかけていたが、今年は少し楽しみなくらい。
何度か小さいゲレンデをパスして、いよいよモンスターに。
相変わらずな斜度。そして、今年は直登!
さすがにきつかったけど、ペーサーの西君と走るときまでに余力はとっておこうと
心拍を見ながらコントロール。
赤倉につくと、磯さんが
「今まで通った選手で一番調子良さそう」
と言ってくれて、元気が出る。
少し疲れていたけど、実際にまだまだ元気だった。
ラーメンを頂き、すぐに出発。
【赤倉〜黒姫】89k〜102k
予想経過時間:13:50
実際経過時間:13:57
赤倉で元気をもらったので、良い気分で進む。
関川のあたりで、誘導している佐々木さんに会う。
関川を超えたあとのロードの坂は全部歩く。
さて、後は黒姫に下るだけ。
気分良く下って、西君の待つペーサー合流地点の黒姫へ。
黒姫につくと、あんさん・女王・むねっちさんとか知り合いがたくさんいて、お世話してくれる。
なんと、トモヤもわざわざ黒姫に駆け付けてくれた。
セカマスさんは、「てか、ビール飲むよね?」「飲まないとダメだよね?」
とか言ってくるし、相変わらず皆がいると楽しいw
西君には「10分ででるよ」
といって、靴と靴下を変える。
いきなり、バン!と背中をたたかれたと思ったら、ブーメランのヒロキ。
青木さんと出ていくところだった。
「後で追いつくよ」
とヒロキを見つめる。
きっちり10分で黒姫をOut。
急いでいたつもりだけど、後で気づけば、この時点で予想より17分の遅れ。
【黒姫〜笹ヶ峰】102k〜113k
予想経過時間:15:20
実際経過時間:15:55
黒姫から笹ヶ峰は唯一走ったことがない区間。
過去に110kのペーサーをした時に、乙女湖から走ったことがあるだけなので、この区間は初。
だらだら上るとは思っていたけど、本当に長い林道。
歩きと走りを交えながら行くが、脚に疲れが出てきて、それと同時に結構心がネガティブになってきた。
西君と話しながら進むと、ヒロキがフラフラしながら走っている。
なんだか辛そうだ。
西君に合図をおくり、無言で抜きにかかる。
知り合いだけに、抜くときに気持ちを込めないといけない。
ヒロキの背中をたたき、青木さんと握手をして前に出る。
しばらく進むと林道が下りに。
思ったより足が疲れてきた・・・
100mileはこの先が勝負なのに大丈夫か??
うっすらと不安を抱きながら笹ヶ峰到着。
笹ヶ峰では、西条さんと同時くらいに入った。
西条さんは、「ここからだよ。信越は」
とさすがベテランの落ち着き。
すぐに補給して出発。山田琢也さんが数分前に出たとのこと。
西君が、追いつきましょう!といって鼓舞してくれる。
【笹ヶ峰〜大林林道】113k〜131k
予想経過時間:17:40
実際経過時間:18:28
笹ヶ峰をでるとすぐに牧場が始まる。
ここの牧草の草が長くて、足に絡まってくる。本当に走りずらい。
山田琢也さんはちらっと見えたけど、思ったより元気そうですぐ見えなくなる。
実はこの辺あたりで、ガクッと足に力が入らなくなってきた。
脚が終わったのか?いや、そんなはずはない。
自問自答しながら、進むが調子は上向かない。
乙女湖へ下るトレイルにでた。
ふと、2012年に桃瀬ねーさんのペーサーで出た思い出がよみがえった。
あの時は、稲葉さんもペーサー参加で、稲葉さんと一緒に待っている間このトレイルを登ったりしたな。
稲葉さん、あの時走れなかったんだよなw
そんなことを考えていたら、気分がだいぶ良くなってきた。
乙女湖の階段を登る。相馬さんは全部走ったという伝説の階段。
そこで、110k優勝候補、関西のスピードスター、西村チャンプが颯爽と抜いていく。
さすがやw 有言実行の1位通過!
チャンプともエールをかわし、ここから、The 信越ともいえる素晴らしいトレイルを進む。
【西登山道〜戸隠スキー場】131k〜143k
予想経過時間:18:55
実際経過時間:20:17
西山登山道から西山に進む。
登りの足は残っているようだが、やはり足が重い。
胃腸の調子はばっちりで、補給はとれているのに。
※あとで、考えると(田中さんにも指摘されたが)、補給がウィダーインゼリーとか中心だったので
もしかしたら、効きというかカロリー摂取がイマイチだったのかもしれない。
たしかにマグオンを入れたときはかなり走れる感じがしていた。補給の質も大事。その点についても今後の課題だ。
戸隠のトレイルはゆっくりながらも走る。
既に予定よりも1時間は乖離しているのは知っていたがPushできない。
脳裏にリタイヤした2015年のUTMFが浮かんでは消えていた。
ナ)もう、俺はあの時とは違う。今回は、胃腸トラブルもない。出し尽くせ!
ナ)いや、でも100mileは何があるかわからない。自重していけ。
いろんな自分が出てきては、居なくなっていく。
西君は、なんとか僕を鼓舞しようと、先に出て引っ張ってくれたり、横に着いたりしてくれている。
結局は、この区間から瑪瑙山まで、不思議な「恐怖」のようなものに囚われていて
全くポジティブにはなれなかった。
戸隠スキー場の手前、子連れのお父さんがいるなと思ったら、なんとトモヤ。
「周りに比べて全然動いているよ。いける、いける」
と声をかけてくれる。本当にうれしい。
いよいよ、ラスボス瑪瑙山手前、戸隠スキー場に到着。
ここで、レジェンド谷北さんに追いつく。
そして、なんとヒロキ出現!
あんなフラフラだったのに持ち直したのか!w
名物のお蕎麦を頂いている間に、レジェンドが出発。
【戸隠スキー場〜ゴール】143k〜160k
予想経過時間:21:00
実際経過時間:23:29:46
瑪瑙山にとりつく。
パワーウォークの足は残っている。でも相変わらず「恐怖」みたいなのはべったり憑りついていて
ペースがまったく上がらない。
後ろに気配を感じたので振り返ると、シガウマラレッドを身に着けている人が登ってくる。
110kの竹之内塾長だ!
力強い登りをうらやましく思いながら、がっちり握手をして別れる。
瑪瑙山ゲレンデ手前でヒロキに抜かれる。
とおもったら、ヒロキふらふらw
結局同じくらいに山頂に到着して、下り始める。
でも僕は下りの足が完全に終っていて、すぐにヒロキが見えなくなる。
遅すぎて西君に迷惑をかけているなぁ、と思いながらももう太ももとお尻の筋肉が取れそうなほど痛い。
最後の山にいく手間でライトを装着。
”あーあ、2晩目。行く予定なかったのにな。。。”とつぶやく。
最後の山は大したことはなく、終了したけど、この下りもげき遅。
途中抜かれるたびにゼッケンを見て、110kだとわかるとホッとする。
最後のWS、飯綱山登山口に到着。
いよいよ、最後7kの林道だ!
西君が、キロ4でいきますか?と聞いてくる。
「と、とりあえず、キロ6でお願いします。」
と申告w
もう、お尻の筋肉が痛くて接地するたびに激痛。
結局、西君にはキロ6付近で維持してもらうことに。
最後3k。
後ろからライトが迫る。
肩をたたかれたので見ると、西条さん!
「まじかー。ここでかー。」
と思わずつぶやくが、追う脚はもう残ってはいない。
そして、目標から遅れること2時間半。
最後フラフラになりながらもゴール。
結局、ヒロキはあの後、7人ほど抜いて30分前にゴールしたらしい。
そのメンタルの強さにびっくりするとともに、自分が如何にメンタルが弱いか。
ゴール後本当にそう思った。
青木さん曰く、
「人間は自分が思ているよりも、2段階上くらいに実際の限界があるもんだよ」
何故だか、ゴール後に話していた時に聞いたその言葉が今でもとても印象に残ってる。
今回は120k以降、弱い自分にずるずると付き合ってしまった。
ゴール後や表彰式ではあれやこれやと考えてしまってはいたけど、
ただ、今は、それもきっちりと、丁寧に、”引出しにしまおう”と思っている。
2014年のUTMFで思い通りのレースができたとき、
100mileは”出力マネージメントのスポーツ”だと思った。
でも今は、”引き出しのスポーツ”だと思っている。
なにか困難に直面した時に、その「引き出し」があるかどうか。
だから、失敗も次への糧になるし、沢山経験しないと、本当の面白さはわからないんだなと。
さて、今回の経験は「引き出し」にちゃんとしまったから、また次の旅をしよう!
今はそんなすがすがしい気分だ。
最後に、西君本当にありがとう!
君のおかげで林道を走りきることができたよ。
滋賀のシガウマラのみなさん。Webでの実況やら、練習やらお付き合い頂きありがとうございました。
また懲りずによろしくお願いします!