福田 由香理 第22回日本山岳耐久レース・ハセツネCUP レポート
ハセツネで10時間を切りたい
第22回日本山岳耐久レースハセツネCUP
奥多摩の山々を駆け巡る、全長71.5km制限時間24時間の本格的な山岳レース
私自身今年で3回目の出場
目標としていた10時間切りを達成し
9時間35分50秒 女子総合2位でゴールすることができました
「ハセツネで10時間を切りたい」
そう強く思ったのは去年のハセツネが終わった直後
去年は10時間48分でのゴール
初めて出たときよりも悪いタイム
ハセツネの1カ月前に出た信越五岳でDNFを経験し、ハセツネでも弱気になっていた気がします
2回目のハセツネはまったく納得いくレースにはなりませんでした
どうしたら10時間を切れるのか・・・
考えた結果は単純に「自分の走力」を上げること
山を走る技術よりも、持久力やスピードという自分のフィジカル面を上げることが大事だと思いました
目標達成のためのトレーニング
そこからまず取り組んだのがフルマラソン
目標にしたのはサブ3
42kmという距離でも、ある程度のスピードで走れるようになることを目標にサブ3のための練習を始めました
そして1月の勝田マラソンでギリギリ達成
このサブ3への取り組みで、自分の身体が明らかに変わったのが、ハッキリとわかりました
そしてその後の練習方法もまったく違うものになりました
全ての練習には意味がある
今日この練習では何を達成させたいのか
それが明確に出せるようになりました
そして次はUTMF
100マイルという距離をしっかりと走りきれるだけの走力・メンタル
そのために今度は「長い時間動き続ける」トレーニングを開始しました
時には17時間走とか19時間走とか、朝7時から夜12時まで動き続けるなんていうトレーニングもしました
これは体はもちろんきつくなるのですが、とにかく気持ちをもたせるのが本当に辛い
レースではない、誰かが応援してくれているわけではない、一緒に頑張っている人もいない、止めるのは簡単
それでも「止めない」気持ちを持ち続ける
脚を止めずに最後まで行く
そうして100マイルに耐えれる心と体をつくっていきました
UTMFは自分の設定した時間内でのゴールとはなりませんでしたが、最後までしっかり走れたことで満足する内容となりました
そしてフルマラソンと100マイルレースで培ったものを融合させる
スリーピークスやエクストリームトライアングルなどのレースでそれを確かめながら
トレーニングを重ねてきました
2014年10月12日
今回のハセツネでは、自分でも不思議なぐらい気持ちが落ち着いていました
いつもレース前はけっこう緊張していたりするのですが、今回はそんな緊張感はほとんどなし
レース前日はRunFieldの練習会でみんなと話したり少し走ったりしてリラックスモード
当日も応援に来てくれた友人やALTRAの人たちとスタート前までずっとしゃべってました
これから、本当に勝負をかけてきたレースに出るとは思えないほど、「普通」でした
それはレースが始まっても変わらなくて、第一関門の浅間峠、そして中間の三頭山までは仲間と山を楽しみに来ているような感覚で走っていました
今回自分が設定した関門通過時間は
第一関門 3時間
第二関門 6時間
第三関門 8時間30分
第一関門をまさにドンピシャ3時間4秒で通過
このときに、なんか今日はいい感じかもって自分で思っていました
それでもやっぱり緊張感はまったく生まれず、なんか心も体も軽い、ふわふわしたかんじで走っていました
気持ちが変わってきたのは第二関門の月夜見を過ぎてから
第二関門通過は5時間56分
もともと後半が勝負だと思っていたのもあってか、ここからは「とにかく今できる全力で行くんだ」という思いが次第に体中を支配し始めました
何のためにサブ3に挑戦したのか
何のために19時間走なんてやったのか
御前山の登りは本当にキツくて、一緒に走っていたランナーさんたちと励まし合いながら進みました
大岳を超えてここからは本当に全部はしる!
そう強く思いながら長尾平を通過
第三関門8時間16分
最後の金比羅尾根
全てを出し切る場所
第三関門の長尾平以降は時計もまったく見ていなくて
自分がどれぐらいのタイムで走れていたのかはゴールまでは分かりませんでしたが
確実に10時間を切っているのは走れている感覚で分かっていました
ゴール直前、「やった」という思いが込み上げてきて
友人たちもたくさん迎えてくれて
本当に最高の気持ちでハセツネのゴールテープを切ることができました
Beyond one’s ability
このハセツネを迎えるための練習は、もちろん楽しいことばかりではなかった
でも、一緒に練習をしてモチベーションを上げてくれる仲間にも巡り会えたし
たくさんの人が応援してくれた
そして前よりも速く長く走れるようになったことが、トレイルランをもっと楽しいものにしてくれた
山を走る疾走感は本当に気持ちがいし
今までより遠くに行けることが本当に嬉しい
もっともっと山を走りたくなりました
レースに出るって
レースを走るだけじゃなくて
そこまでに何をしてきたか
それによって自分がどうなれたのか
やっぱり自分の成長につながるんだって
このハセツネに出てみて、改めてわかりました
ハセツネに出るにあたり、本当にたくさんの人に応援していただきました
またサポートしていただいた皆さんにも本当に感謝します
これからもまだまだ成長していけるように
真剣に楽しくトレイルランを続けていきます!
福田 由香理
使用シューズ
OLYMPUS/ALTRA