MOUNTAIN MARTIAL ARTSは毎シーズンシャツを作っている。自分がシャツを好きということもあるし、「襟を正す」という言葉があるけど、Tシャツやスウェットとは異なり、シャツには襟があることで気が引き締まる感じがする。
と言っても、MMAが作るシャツは街も山もシームレスに使えることが大前提となっている。大切なのはデザインと機能。
シャツと言っても様々なモデル(形)があるが、モチーフとしたのは1940年代のアメリカのワークシャツ。ハーフジップのプルオーバータイプで、当時は多くのワークメーカーが作っていた。プルオーバーには被る手間があるが、ボタンを留める手間とどちらがよいか考え、前者を選んだ。手袋をしていてもそのまま楽に着ることが出来る。
ヴィンテージのワークシャツはファスナーが丸見えで少しラフな雰囲気に見える。そこでファスナーを隠す比翼仕様に。実はハーフジップの比翼シャツというのはほとんど存在しない。地味だがオリジナリティの高いディティール。
そこに山で使える機能をプラスしていく。素材はランニングパンツにも使っている東レの速乾・ストレッチ・軽量性を兼ね備えた高機能素材。そこにMMAお得意の全面プリントを施す。今シーズンはヴィンテージのパッチワークとメゾンアロハだ。
ソリッドな機能シャツは他メーカーでもリリースしているが、パッチワークやアロハ柄は(多分)世界中でMMAだけ。山でパッチワークやアロハ。いいじゃない。そういうミスマッチがとても楽しい。
襟はボタンダウンタイプに。ボタンダウンにはトラッド感があるし、そもそもがポロ競技で襟がたなびかないように生まれたディティールなので、アクティビティとは相性がいい。
少し大きめの胸ポケットはザックを背負った際にもハーネスが干渉しないラウンドした形状。出し入れしやすい縦に開く形状で、内容物を落とさないようにファスナーを付けている。今シーズンからファスナーは圧着仕様にしている。意図的に少し目立つ白にして、デザインのアクセントとしている。
脇にはファスナーで開閉するベンチレーションを付けた。開けた際に肌や下着が露出しないように、速乾性のメッシュをつけている。ワーク、トラッドに、アウトドアの機能性のディティールをプラスしたハイブリッドなデザイン。
このようにアクティビティに使える機能を備えているが、大切にしていることは街に馴染むことだ。原色だったり、光沢感のある素材だったり、スポーティーな雰囲気はなるべく排除し、「え、それで登山もできるの?」とビックリされるくらい街着然としたデザインがいい。
過去にはMMAのシャツでトレイルレースにも出たし、夏山登山も楽しんでいる。最近は自転車にもベストマッチということに気づいた。もちろん、普段着としても活用している。ぼくは汗かきなのだが、柄シャツは汗染みが目立たないというのも大切なポイント。最近の夏は暑すぎる。
ヴィンテージの柄とアクティビティで発揮する機能性が共存している今シーズンのシャツは、見た目はクラシックカーなのに、中身は電気自動車のような。それは幅広いシーンで使え、廃れることがないオーセンティックなプロダクト。古きを温め新しきを知る。
MOUNTAIN MARTIAL ARTS director
渋井 勇一
2 コメント
迷ってたら自分のサイズが売り切れたので、
慌ててBlack Brickで購入し、本日初着用。
サイズ感、デザイン、共に素晴らしいです。
一点、脇のファスナーはギミックとしては面白いものの
ランでは汗が溜まり、ザックを背負えばシルエットが変わり
開け閉めがしづらいと感じます。
メッシュだけで良かったようにも感じました。
もちろん、基本的な機能と遊び心が詰まってて、
サイコーなウェアである事は疑いの余地ありません!
松尾晋太郎様 ご愛用いただきまして誠にありがとうございます!ご意見、とても参考になります。来シーズン以降反映したいと思います。今後もみなさまに喜んでいただけるプロダクトを作っていきますので、引き続きよろしくお願いいたします。MOUNTAIN MARTIAL ARTS ディレクター 渋井勇一