今シーズン最後の雪山は北岳へ。
冬季に北岳へ直接登れるのは池山吊尾根だけ。
白根御池、大樺沢とも雪崩の危険性があります。
スタートして2時間でアルキ沢橋に到着、ここから約2,000mアップです。
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アルキ沢橋
池山吊尾根は距離が短く、前半がかなり急です。
特に1,900m付近まで一気に登り続けます。
2、3日前の雪が早速出てきて、土と雪と凍結がミックスした登山道は気を遣います。
アプローチシューズは1,600m付近にデボして早速登山靴にアイゼン。
おそらく1週間前くらいのトレースの跡がわずかにあり、ルートファインディングは楽なものの新雪で埋まり気味。
標高2,000m近くでスノーシューに履き替え池山御池に到着。
池山小屋に立ち寄るも誰もいません。
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池山御池
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池山小屋
まだ時間があるので先へ進み2,400mあたりまではスノーシュー。
その後はアイゼンに履き替え脛ぐらいまでのプチラッセル。
標高を上げると少しずつ雪が締まり始め猛ラッセルにはならず。
ボーコン沢の頭には16時前に到着、風はそれほど強くなくホッと一息、ずいぶん日暮れが遅くなりました。
ほぼフラットな稜線を進み、いよいよ八本歯のコルへ。
それほど雪は多くなく、新雪が少しついているものの難しくはない。
古いトレース跡がわずかに残っているのと、トラロープやハシゴも出ているので、慎重にいけば問題なし。
順調にクリアし振り返ると夕暮れの八本歯。
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夕暮れの八本歯のコル
この後は、冬は北岳山荘へのトラバースが使えないので、山頂手前の分岐まで直登。
ここのクラスト具合が心配でしたが、ほどよく爪が刺さり登りやすい。
分岐手前の階段は土が出ていましたが、
さすがに風が強く何度か耐風姿勢でやり過ごしながら匍匐前進で分岐に到着。
ここからは夏道を下るだけ、ライトをつけ、
途中長い雪面のトラバースが1か所ありましたがここもアイゼンがよく効き問題なし。
北岳山荘には9時間15分で到着、自分でもビックリ。
手早くテントを張り、食事、水を作って20時には就寝。
ここは携帯電話の電波が入るので、簡単に天気を確認できるのもありがたい。
マイナス15℃、さすがに寒い……
翌朝は5時半に起きてゆっくりと食事、水作り。
朝方は風が強かったものの、明るくなってくると風が弱まってきたので出発を少し遅らせ7時半に北岳へ。
振り返ると北岳山荘の向こうに間ノ岳。
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北岳山荘と間ノ岳
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北岳
とはいえ伊那側からの風が強く、バラクラバ二重にハードシェルのフードでも寒い。
歩くのもけっこうカラダが振られるので慎重に。
八本歯への分岐あたりまで来ると少し風が収まり最後の登りへ。
山頂手前は急傾斜の長いトラバースがあり最後の核心。
慎重にクリアして3,100mを超えると、さすがに雪面がカチカチにクラストして爪が刺さりにくくなります。
1時間10分で山頂へ。仙丈ヶ岳、甲斐駒ヶ岳が素晴らしい。
振り返ると間ノ岳方面も絶景、右の少し奥には塩見岳も。
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北岳
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間ノ岳
日射しが出て少しずつ暖かくなってきたので、雪が緩まない内に手早く下山。
八本歯へのコルへ降り出すと風も弱まりポカポカ陽気。
と思ったら、下からソロの男性が上がってくる、やはり同じことを考える人はいるようです。
今回は人と会うとは思っていなかったのでビックリでした。
雪が少なめの下りを慎重にクリアすると目の前に八本歯。
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八本歯のコルへの下り
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八本歯のコル
核心部分はここ。ここは行きの方が下りになるので難しいと思います。
帰りはトレースも残っているので昨日のルートを戻るだけ。
振り返ると険しくも美しい核心部分が姿を見せてくれます。
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核心部分
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振り返ると厳しくもキレイ
無事八本歯のコルをクリアすれば、あとは淡々と進むだけ。
ボーコン沢の頭では座って休憩。
目の前の北岳、左の間ノ岳が本当に素晴らしい。
振り返ると富士山も。
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北岳
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間ノ岳
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富士山
ここからは難しくなく、1,600m付近のトラバースと急な下りさえ気をつければ問題なし。
北岳山頂手前の分岐から6時間15分で下山。
今回は本当に順調な山旅でした。
これで今シーズンの雪山登山は終了です。
来週から一気に暖かくなりそうで、今年は雪解けが本当に早そうです。
残雪期は雪山を始める方には絶好の時期になりますが、
雪崩や踏み抜きにはくれぐれもご注意ください。
さぁ9月のTor des Glacier450kmに向けて、土日も走り始めます。