大会前日に掲げた装備リストに関して、直接質問を受けましたので、文責上、その評価もしておいたほうがいいだろうと思いました。下記に、いくつかの点を列記しておきます。私の参加したのはAコースの鴨沢からであり、Bの青梅からですと、水場やビバーク地点、山小屋での食事の有無なども異なり、装備も異なるはずですのでご注意を。
スタート前日の天気予報は、台風11号は日本海側へ抜けて、直接の影響は受けないもが、南西からの吹き返しの風が強く、又、大気が不安定な状態が続き、夕刻時に雨が降る可能性があるというもの。ここから読み取れるキーワードは、風は強いが南西風なので気温はさほど下がらない。長時間降り続く雨はないが、短時間でゲリラ的な豪雨もあり得る、低体温のリスクは夜間に身体が止まった後、雨と風に影響されてのこと。ということは → 夜間は超軽量ウインドシェルをメインに。レインパンツはトレントフライヤー(ゴア)ではなく、軽さを重視してバーサライト(モンベルオリジナル素材)でいく。ただし、レインジャケットはしっかりとしたトレントフライヤーをザックに入れておく。という判断でした。
bunsuirei_装備(PDFリンク)
全体の嵩と重さ
食糧は半分近く残しました。これは、営業時間内に通過する山小屋が2つあったことが大きいと言えます。ゴールした時に、食糧が余っていること(予備食糧の考え)が原則ですので、山小屋の食事がなんらかの事情で注文できなかった場合を想定すれば、半分に削ることはできません。いつも消化しきれないジェルを少なく、直前に増やしたロールパン、焼き菓子類(カロリーメイト系)も少なくて良かったかなと思います。
全体の嵩高は、OMM CLASSIC25Lで余裕のある状態でしたので、今回の気象条件であれば、上記食糧を控えめに、ザックを軽量の20L( Laser20やOMM Phantom、Answer4 Foucus Rなど)、軽量マットを上手く外付けできれば、5kg前後にまとめることは可能だと思います。ただ、私の場合、普段の縦走で、同じポケット位置、同じ構造で容量違いのOMM CLASSIC 32Lを使用しているため、どこに、なにを入れるという「慣れ」が大きな安心感を生み、また、分水嶺トレイルでは、ツエルト設営、撤収といった作業も時計が動いている中で行うわけですから、20Lにきっちり詰め込むよりは、多少、余裕がある状態でスタートし、途中の出し入れは、雑にガサガサと突っ込んで、形とバランスをポンポンと叩いて整えるのが今のところよいと思っています。もちろん、走力があり、軽量化重視、荷物の揺れを気にするのであれば、20Lにきちんと詰めるのがベストということなのだと思うのですが、これは7/18のブログに書いた通り、人それぞれの考え方に因りますので、自分のスタイルを見つけてください。特にビバーク時間を長く取る人や、その快適性を選択するのであれば30L以上、50Lザックの参加者が多数であったことを記しておきます。
新しくしたヘッドライト
軽量性と防水性から、Black DiamondのStormを使用しました。最近のヘッドライトの明るさは驚くものがあり、160ルーメンというのは暗い部類に入るのではないでしょうか。ただ使用してみると、この縦走競技に使用する明るさとしては十分であり、むしろこれ以上明るいと、その弊害もでてくるかと思います。(目の疲れや、照射範囲外との明るさの差が大きく、分岐を見落とすなど)又、赤外線モードは、深夜に小屋近くを通過する際や、避難小屋に入るときなど、マナーモードとして役立ちました。
迷っていたシューズの選択
前日までの雨で、岩場や濡れた木階段には、ラグの強いSpeed Cross (Salmon) よりは、クライミングシューズとトレランシューズのハイブリットと言われるRover(Patagonia)が適切でした。クッション性が足りない分は使い慣れたNIKEのインソールを入れて補いました。ソールがビブラムの Speed Goat (Hoka) が、ギリギリのタイミングで発売され、これも迷ったのですが、ビブラムという材質でありながらも、ソールパターンはラグが強めで接地面積が小さく、濡れた岩場でビブラムの利点を生かしきれないのではないかという不安があり、テストなしでの今回の使用は諦めました。(でも良さそうですな)
Ambit3のナビゲーション機能と1/25k地形図
瑞牆山のピークからゴールまでの地図読み区間を含む20数キロで使用しました。 Ambit3のナビ機能で20キロ以上のルートを設定すると、時計画面に現れるルートの縮尺が大きくなり、小さなカーブは表現されませんので、ルート方向を示す機能があてにできません。また、先行者が迷ったと思われる踏み跡に入ってしまい、気づいて戻るということが何度かありましたが、このときも時計画面上ではほぼオンルートでした。やはり、ナイトナビゲーションといえども、地形図をみて、ライトで見える範囲であっても、尾根がどの方向に走っているのかを確認すれば、不安なく薮に分け入って進んでいく事が可能であることを学びました。今回の一番の収穫かもしれません。Ambit3のナビ機能は、分岐や、見落としやすい水場などをセットして、警告音を鳴らすことで、夜間のナビの補助機能として有効かと思います。
全体として、若干の軽量化の余地はあるものの、不足したものはなく、自分の山行計画と今回の気象条件にはマッチしていたと思っています。
2/23/2016 追記
Ambit3のナビゲーション画面は左下のVIEWを押すと、ルート全体を示す縮尺とと細部を表現する100mの縮尺でが切り替わる。それを知らずに上記の記事を書いてしまいましたので、加筆訂正いたします。これを活用していれば先行者の踏み跡に惑わされずなかったかもしれませんが、少し迷うことで、本来の地図とライトで地形を照らすナイトナビが経験できたので、結果その方がよかったと言えます。また、メーカーの方のお話では、ナビゲーション機能を使用すると、GPS交信が自動的に毎秒単位になるとのことで、海外のロングレースでスタートからずっと使い続けるのは難しいと思われます。夜間限定や、この分水嶺のように一部区間での使用に限定されることでしょう。やはり、地図とコンパス、そして山岳GPSを現在地確定のバックアップにできれば尚いいかとは思います。