「この景色を映像に残したい」(例:2016年)と思い、山々の風景写真をよく撮影してきたわけですが、考えてみると、多くの人は、自分の「記憶に残したい」というのが最終的な目的だと思います。その時の風景、一緒に走った仲間、一緒に登った人、それら全部を大切なものとして記憶が色褪せないように、その手助けに写真や動画を取るのだと思います。もちろん、それをSNS(Instagramリンク)にあげる、あげないといった自己承認欲求の度合いは人それぞれでよいかと思っています。
年齢を重ねて、少しずつ、でも確実に、昔の自分の動きができなくなってくると、その俊敏な動きをしていた時の記憶が、ふと蘇るときがあるのです。その記憶は脳に浮かぶ映像だけでなく、筋肉の軋み、骨格で取るバランス、落下重力、呼吸の音、あるいはその季節の木々の香り、空気の冷たさ、そういったもの全てが蘇ってきます。そういう思い出がたくさんある人は幸せだと思います。
で、買いました。
ウェラブルカメラ Insta360 GO3 (重量35g)
性能的なことや、プロダクトレビューはYouTube上にたくさんありますので、そちらをご覧ください。
「なぜウェアラブルカメラなん?」
“水や衝撃のあるアウトドア環境、あるいは自分がベストに近い動きをしている状態”という条件でなければ、素人ですとI-Phoneの複眼レンズ以降のモデル、動画ならばジンバルを付けて撮影するのが一番美しく撮影できる気がします。また、通常のアクションカメラと自撮り棒で撮影するのは、片手がふさがるため、撮影のために走る、登る、滑る、ことになるようで、気持ちのよい動きをしている瞬間の、自分が脳に焼き付けたい映像ではないだろうなと思うのです。また、同じアクションカメラでも360°撮影が可能なタイプは、小型とは言え、その大きさから、見た目ちょっと恥ずかしい。自分にYouTuberは似合いません。YouTuberの方は、(それを生業とされている人は特に)ここで私が書いている「自分の記憶」のためではなく、「人に伝える」ための道具、手段であるわけです。カメラを回しながらレースで戦える、(そして編集も)まさにマルチな才能のYouTuberの方々を尊敬しています。
学生の時のようなスキーの滑りはもうできません。あるいは、ハセツネの夜に金毘羅の下りを爆走することもできません。それでも自分の身体が動くうちは、今できるベストのことを、そして、ご一緒してくれる仲間や、相方との楽しい時間を映像にして、記憶の助けにしたいと思うようになりました。遠い将来、ビール片手に振り返った時に、とてもよい気分だろうと思うのです。こんな感情は、レースに明け暮れていた頃は、沸き起こることはありませんでした。それは、過去を振り返ることよりも、前へのベクトルを全力で走っていたからだと思います。それが当然だろうし、それでよかったとも思っています。今、こういう感情がわかない方は、感じたままに、走れ、登れ、滑れ ! Dance with The Mountains!
それでは皆様、良いお年をお迎えください。