8月上旬の飯豊連峰縦走時に熊と遭遇するハプニングがあった。
日程の最終日に、まさかこんなことが待ち構えていたなんて想像すらしていなかった。
午前7時頃、飯豊連峰北端の朳差岳の登頂を終え、朝霧の中の権内尾根を下っていた時だった。
突然、獣臭が漂ってきた。
その瞬間、全身に緊張感が走った。
やばいぞ!
近くに熊がいる⁈
その場に立ち止まって、周辺を注意深く観察してみたが、動物の気配はなかった。
バックパックに着けていた小さな熊鈴を取り外し、手持ちで振り鳴らしてみた。
チリ〜ン!チリ〜ン!チリ〜ン!
なんとも頼りない音に不安が増す。
ガサガサッ!ガサガサッ!
突然、20mほど先の木の上から大きな音がした。
反射的に目を向けると、真っ黒い動物が木から降りてきた。
熊だ!
デカい!
自分と同じ位の大きさの熊だった。
恐怖で逃げ出したい思いに駆られるが、足が動かない。
こっちに来るな!
自分の存在を熊に知らせたくて、熊鈴を激しく振り鳴らした。
チリン!チリン!チリン!チリン!
こんな音では駄目だ。
大きな音を鳴らした方が良いと思い直し、手を叩いた。
パン!パン!パン!パン!パン!
ガサガサッ!ガサガサッ!
熊は木を降りて、谷側へ去っていった。
30秒ほどの出来事だった。
バク!バク!バク!バク!
心臓は音を立てていた。
恐怖と安堵感でしばらくその場を動くことができなかった。
熊に出遭ってしまった場合はどうしたら良かったのか?
あわてず、騒がず、ゆっくりと熊から離れればよいと聞いている。
熊には、走って逃げると追いかけてくる習性があるから、遭遇した場合は、刺激しないようにゆっくりと熊から離れるのが重要なようだ。
熊に襲われなくて本当に良かった。
この後、川沿いの林道で、アブの大群にまとわりつかれて、数箇所を咬まれた。
アブには襲われて散々な目にあった。
飯豊連峰に行かれる方は熊とアブには注意されたし。