いよいよ本格的なトレイルランニングシーズン! そしてトレイルランニングといえばレースが醍醐味!というランナーのみなさまも多いかと思います。
今年も新しいレースを含めて、多くのレースが開催されていますが、一部人気レースは数分でエントリーが締め切られ、「第0関門」などとも言われています。でも「人気レース=よいレース」とは限りませんし、レース、というよりはトレイルランニングの魅力は多種多様。人によって楽しみ方はそれぞれです。
ただ、数多いレースの中で、どのレースが自分に合うのかという不安もあると思います。そんな時に役立つのが参加者の感想。そこで、メジャーからコア、知られていないマニアックなレースまで、様々なレースに参戦しているMMAブロガーたちがオススメレースを紹介致します!
第一段は数々の国内レースで上位フィニッシュしている実力派の福田由香理さん。いきなりの海外ドMレースです!
こんにちは!
今回「MMAブロガーのオススメレース紹介」ということで、せっかくなのであまり日本人が参加したことないであろう海外レースを紹介しようと思います。
Speedgoat 50k
アメリカのユタ州にあるsnowbairdで行われる50kmのトレイルレース。あのKarl Meltzerがディレクターを務めるレースです。毎年7月の最終土曜に開催され、今年は7月27日の開催が決定しています。 私は去年このレースに初参戦しました。このレース、エントリーしてから知ったのですが、「全米一キツイ50km走」と呼ばれるほどの超ドきついコースです。。。
高低表からもわかるように2回にわたって大きな山を登ります。しかも2回目はスタートよりも低い地点まで下りてからまた登り返すというドMっぷり。そのあいだの小さなアップダウンも実際に走ってみると超ハード。そして、また時期が時期だけにものすごく暑い!またスタート地点がすでに標高2400mほど。最高は3400mまでというかなり高地で行われるので、軽い高山病も経験します。
という、まさに地獄のようなレースなのですが、これだけキツくても、素晴らしい景色だったり、温かすぎるスタッフのサポートだったり、熱烈な応援だったり、そのキツさを上回るほどの感動を味わうことができます。また一昨年までは超ローカルだったこの大会も、去年から「SKY RUNNERS WORD SERIES」の公式レースになり、賞金も出るそうなので、KillianやKrupika、Joe Grantなど世界でもトップクラスの選手がたくさん参加していて、そういう選手と同じレースを走れることにも感激できました。
以下は去年の私のレースレポートです。
スタートはam6:30。あたりが明るくなってきたころから、選手もスタートラインに並び始めます。
スタートと同時に冬にはスキー場となっているであろう丘を登っていきます。まずはシングルトラックを登って登ってちょっと下ってまた登って、少ししてから広い道にでて、ここからはひたすら登り。
このsnowbirdでは少し登ると、もうすぐにちょっとした頭痛や息苦しさ、手のむくみなど、高地の影響が身体に出始めます。そんなときは大きく深呼吸して、水分をしっかりとって、とにかくゆっくり登る。そうして徐々に身体を慣らしていきました。
そして、日本ではなかなか見ないようなガレ場。目印のフラッグがなければどこがトレイルなのかまったくわからない。そんなガレ場をひたすら登り、ダートロードを超えると、ひとつめのピークHidden peak に到着!
エイドステーションではスタッフがハイドレーションに水を入れてくれたり、何が欲しいか聞いてきてくれたり、まあみんなすごく優しい!この時点でこのレースのホスピタリティの高さを感じました。
そして、ここからはいったん下りパート
その下りではこんなキレイなお花畑!
高山に咲く色とりどりの花たち
本当にBeautiful!!
そして涸沢のようなカールも。
こんな美しい景色の中を走れていることが、嬉しくてたまらなくなる。そんな場所でした。
そんな夢のような場所から今度は樹林帯へ。白樺の木と真っ青な空。ここも本当に美しい森でした。この森で折り返してきたキリアンと遭遇。生キリアン、興奮せずにはいられませんでした。
そのあとはひたすら続く砂利道。この砂利は本当に足にくる。でも我慢しなが進んでいくと到着するのがこのレースの一番標高が低い地点。ここでは超ファンキーなお姉さんの熱烈な声援を受けました。
ここからは下ってきた砂利道をひたすら登ります。そして小さなピークをいくつか超えて、また素晴らしい景色の中へ。
そして続くのが壁パート(笑)!「ここ登るの!?」と思うような急登をガシガシ登っていきます。それも一度だけではなく何度も・・・
外人が「RAKU~!!」と言っているのを聞きました。外国でも岩が落ちたら「落(ラク)」って言うんだ~って、朦朧としながら思っていたのを覚えています。
ようやく2個目の大ピークを超えて、あとは下るのみ~!と思っていたら、その後一番最初に登ったあのHidden peakへともう一度登り返す。しかもかなり下ってから。高低表がよく頭に入ってなく、2個のピークだけかと思っていたので、これに気づいたときは本当に落胆(笑)
「これって50kmじゃなくて50mileだったっけ!?」と思うほどにゴールが遠い。
そして本当にようやくの、この日2度目のHidden peak。ここでも凄まじい応援と、温かいサポートを受けました。
そこからは本当に下りオンリー。ダートな道をひたすら下り。行きでも通ったあのガレ場も下り。
親指の爪がもうおかしくなってるのが分かりながらも、とにかく下りました。
でも、トレイルレースお決まりの、ゴールが見えてからがとにかく、長い!
くねくね、くねくね・・・
何度も期待を裏切られながら
ついに
本当に
GOAL!!!!!
タイムは9時間34分。
ものすごく長い長い50km
本当にキツかった50km
でも、すごく感動できた50km
こんなにキツいコースは本当に走ったことありませんでした。
今となってはこのSpeedgoat 50kがあったからこそ、その後の日本のレースで入賞などができるようになったのかも、とも思えます。精神面でもかなり鍛えてもらったレースでした。
ちなみに去年のspeedgoat50kは一昨年に比べて累積標高が3600mぐらい上がっているらしい。3600mって富士山1回登るのが増えてるってこと・・・
年々ハードになっているらしいこのレース。レースディレクターのKarl Meltzer の超ドMコース設定は毎年さらにハードになると予想。こんなドMレース、一度は経験してみるのはどうでしょう☆
規模自体は小さな大会なので、世界のトップランナーにすぐに会えたりもします!
参加賞Tシャツの下には「A REAL MOUNTAIN RACE」の文字。
(文・写真/福田由香理)