2年ぶりにL2Lに出場。
L2LとはLakeToLakeで河口湖と奥多摩湖間の約73キロを走るイベント。スタートは1年ごとに逆になり、今年は河口湖が起点。ゴールの時刻は翌日の12:45~13:00までと決まっているが、スタートは他のランナーと5分以上あければ好きな時刻でいい。このため密にならず、走力に合わせてタイムを設定でき、不明者がいない限りすぐ解散、と理にかなった進行となっている。
サポート一切なしがイベントの特徴で、ゴール地点に荷物を搬送なんてサービスもないが、参加料もない。中間地点となる湯ノ沢峠に湧き水が一箇所あるが、涸れていることもあって必要なものは全部自分で持って走らなくてはならない。申込み段階から すでにスタートしているようなもので、気象条件や体調によって作戦が変わる、山の総合能力を競うイベントとなっている。
スタートは河口湖畔のローソン前。はじめはゆっくりなので、カップ麺を買って食べてすぐに出発する。カチカチ山のアミューズメント施設もある華やかさは最初だけで、三峰山から先は山頂のたびにキツめの上り下りが発生して無駄に力をそがれてしまう。一昨年は雨と強風で中間地点到着が午前1時になって気力が尽きて終了したが、今年は順調に進んで約12時間、午後9時に到着できた。
湯ノ沢峠では山仲間がテントを張って応援してくれ、しばしの語らいで気分もリフレッシュ。その夜の気温は10度前後だったので、サーマレストのエアマットを敷いて、ダウンジャケットを羽織ってエスケープヴィヴィに入ってぐっすり就寝。一眠りで1時間37分と、理想的な睡眠で0時過ぎに起き、カップめんを食べ、午前1時前から霧の中でルートファインディングをやりながら進む。
深夜の尾根道は濃霧に包まれ、時おり結露した水滴が降ってくる。人が少ない登山道で踏み跡が薄い上、落ち葉がかかって正確なルートがわかりにくい。GPSがあっても数メートルの違いはわからないので、少しでもフカフカな感触があればルートから外れている、と足裏感覚で判断しながら進む。そうこうしているうちに4時をすぎると夜明けとなり、牛ノ寝通りから鶴峠へ下って、2時間近くかけて三頭山に到着した。
あとはハセツネで何度も走った勝手知ったるトレイルだ。途中でトレイルランナーがいたので、ついついこちらもペースを上げてしまい、時間の余裕が増えたものの、その先が一人になってペースダウンしてしまう。その結果月夜見駐車場で想定より3分遅れとなった。
とはいえ想定通過時刻は、下りが遅い人のタイムをベースにしていたので、小河内峠からの下りでは15分の余裕ができた。さて、今年は余裕でダム湖の周りを歩いてゴールできるな、と思っていた矢先にコースミスが発覚。戻っても進んでも確実に間に合わない尾根の途中に来ている。下を見ると予定していたルートのガードレールが小さく見えた。
こりゃ突っ切るしかないと思って、泥の斜面を下り始めた。障害物がないのは良いけど、スピードを落とすための拠点も乏しい。新雪をスキーで下る感覚を楽しめたのはほんの瞬間。掴もうと当てにした草は根元から抜け、枝は枯れてて掴んだ瞬間に折れたりして大変だった。
と、それまでと真逆のハードモードに切り替わり、泥だらけでなんとか着地してダムへ向かって走り出す。最初はウエアに入った土砂を撒き散らしながらのランとなり、ぎりぎり12時57分にゴールできた。他のランナーはみな12時45分からゆっくりゴールしてきたらしく、走ってきたのはワタシだけだったみたい💦
最近はイベントのロング化とともに、エイドやペーサーなど至れり尽くせりのトレランが増えてきて、それはそれでチームワークとして面白い。しかしそれだと飲食物も救護もすぐ手配できるので、インドア化(?)したトレランとなってしまう。
走力だけじゃなく、ナビゲーション、サバイバル、山の知識、直感力、計画性など、山で必要な総合能力を競う、頭脳プレイ的な面も併せ持つイベントがL2Lだ。