ぼくがその黄色い冊子を知ったのは、2013年7月のこと。石川弘樹さんがFBにアップしていた。
トレイルランニングというカテゴリーが大きくなるにつれて、比例するようにトレイルにおけるマナー&モラル問題の話題を耳にするようになってきた。
メディアの歪んだ報道や自治体が訴えるトレイルラン大会の山への悪影響。トレイルでランナーとトレッキング愛好者が衝突したとか、地元の方とトラブルを起こしている等、内容は様々だ。ぼくのような一市民ランナーには何が正解で何が間違っているかわからない。それどころか、何が真実かもわからない。
そうした状況の中で思ったことは、「自分の出来ることをやる」。規定作りみたいな大掛かりなことは専門家のみなさまにお任せして、一市民ランナーとして、そしてMMAとして出来ることは、情報を発信すること。トレイルにおけるマナー&モラルを、MMAサイトで情報発信することでトレイルランナー同士が共有するお手伝いが出来ればよいと思った。
そこでイラストを中心とした記事を書こうと思っていたところで出会ったのが、上記の黄色い冊子「TRAIL RUNNING 10RULE&MANNERS」だった。チラ見すると、ぼくがやりたいことがそこにあった。“内容は簡潔にしたい”=“10つにまとめたルール&マナー”。誰でもわかるようにイラストでわかりやすく。そしてなによりも、黄色い冊子はぼくがデザインするより全然出来がよさそうだ。
「TRAIL RUNNING 10RULE&MANNERS」を製作したのは四国の特定非営利活動法人 四国スポーツ環境リレーション(NPO SSER)様。すぐに代表の白川さんにご連絡して「MMAサイトに掲載させて欲しい」とお願いしたところ、白川さんもMMAを存じていただいていて、快く了承いただいた。
しかし、その後も様々なメディアでトレイルでのマナー&モラル問題が取り上げられていた。メディアに出れば話題になり、しばらくすると沈静化する。その繰り返し。
ぼくが知る限り、多くのトレイルランナーはマナー&モラルを大切にしている。しかし、こうして何度も話題に上がるということは、マナー&モラルを守らないランナーも少なからずいるのかもしれない。走ることに夢中になり、うっかりということもあるかもしれない。カテゴリーの拡大に対して、山の常識を身につけるということが追いついていないのかもしれない。
そこで、WEBでの情報発信からもう一歩踏み込んで考えてみる。MMAに出来ることはWEB発信の他、ウェアを作ること。マナー&モラルのTシャツを作ろうと思いついた。山におけるマナー&モラルのメッセージをプリントすれば、トレイルでそのTシャツを着る方も、見た方も、マナー&モラルをより意識してくれるかもしれない。
普段、MMAはすべて自分でデザインしているのだが、このTシャツに関してはNPO SSERにお願いしようとその時点で決めていた。そして再度白川さんに連絡。今回も快くご了承いただいた。デザインを担当していただいたのは「TRAIL RUNNING 10RULE&MANNERS」冊子をデザインした大森さん。大森さんのデザインのよさを活かしながら、自分の実現したいことやMMAのイメージをしっかりと伝えた。
やるからには妥協したくない。四国にいる大森さんと電話やメールのやりとりで何度もデザインについて意見を交換し、そうしたコミュニケーションを経て素晴らしいデザインが出来あがった。フロントには「SHARE the TRAILS(トレイルをシェアしよう)」のメッセージ。バックには10個のルール&マナーが英語で記載してある。さすが大森さんだ。
MMA SHARE the TRAILS Tee
MMA13-59
color: Gray/Navy
QUALITY: Polyester 100% (COOLMAX®)
MMA定番のオリジナルボディに「TRAIL RUNNING 10RULE&MANNERS」のメッセージをプリント。落ち着いた質感のCOOLMAX®素材を使用し、デイリーにもライトアクティビティにも対応する。
2014年秋に発売したところ、ぼくの予想以上に反響があった。MMAはまだまだ小さなブランドで、しかもこのTシャツは雑誌やWEBメディアに出たわけではなく、告知はMMAのサイトとブログのみ。自分でもその反響にビックリしたのだが、おそらく多くのトレイルランナーがトレイルランを好きな気持ちを共有していて、ぼくと同じようにトレイルでのマナー&モラル問題を気にかけていたからだろう。
マナー&モラルに関して人任せにしないで、一人一人が自分で出来ることをやっていけば、小さな積み重ねが大きな流れとなって解決に役立つかもしれない。そんな気持ちを込めたTシャツ。
2015年1月、デザイナーの大森さんと四国T-mountainさんでパチリ。
実は以前ぼくがUTMFに出た際、DNFした後にひとりで行った河口湖の温泉で、大森さんやNPO SSERのメンバーとお会いしていた、らしい。NPO SSERメンバーはUTMFにボランティアで来ていて、MMAを知っていた大森さんがぼくを見かけて声をかけてくれたのだそうだ。
2013年4月、ぼくが黄色い冊子を知る前の話。こうしてトレイルを好きな気持ちが必然的に繋がっていくのだなと思った。
(Mountain Martial Arts Director 渋井勇一)
MMA Active SHARE the TRAILS V
MMA13-77
COLOR: Navy/Khaki
QUALITY: Polyester 90% Polyurethane 10%
ロングトレイルのようなアクティビティにも対応するバージョンが4月に発売予定。ボディは汗を素早く吸い取り拡散させドライに保つ特殊機能素材を使用。ザックを背負った際にもメッセージが見えるように、バックプリントは下に移動している。脇下のツートーンに切り返した部分の下部にポケットを装備し、小物や補給などを入れることが可能。