3時40分に起床。夜中はそこそこ風が吹き、秋の標高2,000mは結構冷えます。
真夏用のシュラフだと着こんでも寒いのですが、気温は10度以上はあるので動き出すとすぐ温まります。
農鳥小屋まで水場は無いので2リットル水を積みます。
カロリーメイトとプロテインバーを1つ食べ、4時20分にスタート。
やはり雲がかかっていて夜中含め星はそれほど見えず。でも雨ではなく曇りなので歩きやすい。
奈良田越までは林道歩きです。
途中少しだけ崩落個所で危ないところがありますが、あとはよく整備された林道のアップダウンです。
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広い林道歩き
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写真よりも危ないです。
下りは小走りして奈良田越には1時間50分で到着。
さすがに4日目になるとカラダの中のグリコーゲンが空っぽになり、
食べた分だけ動ける(=食べないと動けない)、となってきます。
3,4年前までは、普段から低糖質の食事で、
行動時もあまり糖質はとらず、なるべく心拍を上げずに脂肪をエネルギー源にすることを心がけていたのですが、
どんなに脂肪の使用率が上がっても、糖質の消費を0にすることはできません。
なので、糖質が不足すると、筋肉が分解され始めてしまい糖質として動員されます。
結果、ロングのファストパッキングを続けることで筋肉量が一時期かなり落ちてしまいました。
栄養には気を遣い、たんぱく質の摂取や筋トレもしましたが、それでも筋肉量は落ちていく。
実際、長くは動けてもこれ以上速くはならないという状況になり、以降、
平日の高強度トレーニング前にはしっかりと糖質をとり、心拍を上げるようにした上で、
ファストパッキング時の行動食も糖質メインに切り替えました。
いま低糖質なのは、普段の食事だけ。1日2食なので朝・夕のみです。
今はファストパッキング時もかなりペースを上げられるようになり、
回復スピードも速くなったことでより高強度のトレーニングができる、という好循環のサイクルができています。
ここでもしっかりパンを1つ食べます。
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奈良田越
ここからは樹林帯の急登。雲の合間から日差しもあり、
涼しい朝の、気持ちいい森を登ります。
まぁまぁ疲れがたまっているのと、まだ水がほぼ2リットル残っていて、それほどペースは上がりません。
1時間半ほどで稜線へ出て小休止。
蝙蝠岳、塩見岳が左前によく見えます。
右後ろにはようやく笠雲のとれた富士山がくっきり。
スカッとした秋晴れではありませんが、風も無く穏やかな秋の稜線歩きです。
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蝙蝠岳、塩見岳
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富士山
笹山北峰には8時半ごろ到着。
さすがに時間も早い平日なので誰もいません。
ここでもパンを食べて小休止。
ここからは白峰南嶺のご褒美区間。大きな岩がゴロゴロしていたりはするのですが、
なだらかなアップダウンを繰り返しながら少しずつ3,000mに近づいていきます。
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笹山
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農鳥岳が目の前に
広河内岳まで来るとけっこう日差しが出て少し暑いぐらい。
大門沢の分岐の先でようやく登山者の方と何人かすれ違います。
外国人の親子連れがいてVibramのファイブフィンガーズ、なかなかの強者です。
農鳥岳には11時15分に到着。鳳凰三山や明日向かう八ヶ岳がよく見えます。
ここはすぐに出発して農取小屋にはお昼前に到着。
幸い小屋は営業中で水を1リットル100円で分けていただきます。
何人か宿泊予約されている方も到着してきます。
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広河内岳
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農鳥岳・向こうに鳳凰
ご主人と談笑しつつ間ノ岳へ。
13時前に到着すると、頂上には5,6人休んでいて平日なのにけっこうな賑わい。
ここでもパンを食べ、ガス欠にならないようこまめに補給し三峰岳方面へ。
ここからは勝手知ったる仙塩尾根。野呂川越には14時半に到着。
この区間は樹林帯に入ると下りは意外と早いです。登りは本当にキツいのですが…
落ち着いた森のトレイルです。
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樹林帯にすぐ入ります。
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野呂川越
さすがに疲れてきて、ここからの細かなアップダウンはゆっくり。
あと、行動食が不足気味になり、少しエネルギー補給の間隔を空けたのですが、
これがもろにペースダウンへ… 地味な急登が多いのでなかなか進みません。
仙丈ヶ岳にはガスがかかり始めます。
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独標
樹林帯を抜けると、そこそこハイマツがトレイルに出ていて、
登りなのでけっこう膝や足が押し戻されたりします。
大仙丈ヶ岳に近づくと、ハイマツの枝切りが最近されたようで、途端に歩きやすくなります。
9月の半ばの3,000mは少し紅葉が始まっていました。
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枝切り
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紅葉
大仙丈ヶ岳の急登をクリアし、仙丈ヶ岳には17時半に到着。
なんとか明るいうちに着いてホッと一息。
この先北沢峠はdocomoが入らないので、電波の入るこの付近で明日の天気予報を調べたりメールチェックをします。
この時点では明日もそれほど天気は悪くなさそうで晴れマークでしたが…
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仙丈ヶ岳
あとは淡々と下り、大滝の頭でライトを点灯して、北沢峠には19時に到着。
テン場は使えないため、林道付近で水を汲み少し離れたところでビバーク。
距離はそれほど長くないのですが、やっぱり標高の高いエリアはけっこうキツいですね。
カロリーメイトとプロテインバーを食べ就寝。
14時間40分、41.2km、D+3,900m。
2 コメント
行ったことのない山の景色、トレイルの様子、楽しく拝見、拝読ませて頂いております。栄養の話、おもしろいですね。私も脂肪燃焼体質にするために1日2食に「しています。数日にわたるロングはやらないので筋肉量は減ることはありませんが、長いファストパッキングを行っていると筋肉量も減っていくのですね。興味深い話です^^
そうなんです。ファストパッキングをやればやるほど動けるようにはなるんですが、筋肉はかなり落ちます。筋肉をエネルギー源に使っているんですね。
なので、食事だけでは回復しきらないので筋トレが必要です。